2012年4月22日(日) 新潟  分水(その1)

新潟も遅い春が到来。
桜のシーズンに入り、何処に行こうかと思案しました。
 ①上越、高田の夜桜
 ②分水の桜
高田の桜は、高遠の桜と同程度のレベルを期待できそうですが、新潟市内から車で2時間はかかりそうなので、中止。分水の桜で手を打ちました。

実は、大河津分水は土木屋の聖地でもあります。
信濃川の河口つまり新潟市から約40Km上流の場所に、大河津分水があります。
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新潟の越後平野は、土地が低いため、江戸時代から年中洪水の被害に悩まされてきたそうです。分水路が完成する以前は、胸まで埋まって田植えをしたとか・・・新潟の人たちは、信濃川のもたらす恩恵と負の部分を同時に背負って生きてきたようです。
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明治時代の終わり頃、この問題を解決するめに、大河津で放水路の建設が始まりました。信濃川の下流部は、海岸線と平行して流れているため、もっとも、開削区間を短くできる弥彦山の山麓にある大河津がその地点に選定されたようです。
ショートカットした分水路は、約10Km。それまで、40Kmに亘って流下した洪水が、たったの10kmで流れ下る。実は、このことが、大問題を引き起こしました。

多分、昭和初期の大河津分水の航空写真でしょうか?現在とは、若干、形が違っています。
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よくよく考えると、洪水から農地や住宅等の都市インフラを守るため、日本全国の主要都市には、放水路が整備されています。
有名なものは、荒川。赤羽から河口までの20km区間は、明治末期に整備された開削河川。つまり、人工的な河川です。
狩野川放水路は、河口の沼津市を洪水から守るために整備されました。伊豆長岡付近に立派なトンネルタイプの放水路を見ることができます。

朝早く、新潟市のアパートを出発。分水までは、約30km、車で1時間で分水の駐車場に到着。
すぐ前の公園の向こうに、新洗堰が見えました。この堰は、信濃川本川の普段流れる水量を調節して流し、洪水の時は、ゲートを閉めて、洪水を分水路に流します。
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公園の中を進んでいくと、旧洗堰が・・・この旧堰は、昭和初期に完成したもの。新堰の完成によりその役目は終了しましたが、歴史遺産として保存されていました。これだけ大きな土木構造物をそのまま保存しているのは、大変、珍しいのではないか?しかも、完全に水を抜いているので、普段見ることの出来ない処も完全に見ることができました。
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旧洗堰は、堰柱の間が現在のもの比べて、非常に狭いため、堰柱が沢山設置されていました。当時の設計レベルでは、ゲートの構造的な限界があったためでしょうか?赤く塗られたゲートは、結構、インパクトがありました。上流側から見るとこんな風・・・
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下流側には水流による河床の洗掘を防止するための護床ブロックが並べられていました。
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旧堰のゲートの数は27基。上流の長岡にある信濃川本川の妙見堰は、同程度の堰長ですが、ゲートが8基。随分と差がありました。この違いは、ゲート自体の構造的な耐力の違いではないか?旧堰の設計年度は、昭和初期、多分、高強度の鋼材が無かった可能性があったのでは?
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旧堰の上流面をアップしたものは、こんな風・・・なかなかインパクトがあります。
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下流面はこんな風・・・
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旧堰は、80年の年月を経ても予想以上にしっかりしていました。中央の主ゲート付近が、ゲートが開いていて、潜りぬけられるようになっていました。
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戸当りと呼ばれるゲートの端部が上下する溝の脇にコンクリートの表面が見えていました。コンクリートの骨材は、円い形をしています。これは、河原に堆積した砂利を使用した証拠。80年の歳月を経ても、密実さが感じられました。
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川の水位以下のコンクリートは、少し黒っぽく変色していますが、非常にしっかりしていて、当時の人たちが、入念にコンクリートの工事を行っていたことが、感じられました。
コンクリートの寿命は100年といわれていますが、しっかり工事を行えば、100年は十分持つことが、わかりました。

 新洗堰を次回の記事でアップします。

by camino0810 | 2012-08-19 04:40 | 新潟 | Comments(0)  

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