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2010年8月13日(金) Montparnasse~Saint Jean Pied de Port

今日は、camino(スペイン巡礼)の出発地Saint Jean Pied de Port(サンジャンピエドポー)に向かう日です。
朝6:00起床。生乾きの洗濯物をリュックに詰め込んで、持ち物の最終チェック。昨日の夜は、風邪で熱が出ましたが、持参の風邪薬と無理やり飲み込んだ大量の水のおかげで、汗が出て平熱に戻りました。自分の体力に感謝、感謝でした。
Montparnasse駅に7:00到着。駅の売店でお昼ご飯のサンドイッチを購入して、時刻表が見えるベンチで発車ホームの発表を待ちました。昨日の予行演習のとおりです。20分前に発車ホームが掲示されました。例の黄色の機械でチェックインして、ホームのTGVへ・・・
TGVの車内は、結構カラフルでした。座席は通路の両側に2列ずつ。新幹線よりゆったりしていました。

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Saint Jean Pied de Portは、フランスとスペインの国境付近にあるフランスの小さな町です。
Montparnasse駅からTGVdでBordeuax駅(ボルドー)まで行きます。ここで、TER(在来線)に乗り換えてBayonne駅(バイヨンヌ)へ。もう一度、乗り換えてSaint Jean Pied de Portへ。
料金は86€。SNCF(フランス国鉄)のサイトで予約しました。距離的には、約800km。東京、岡山間位の距離ですから、日本の新幹線より少し安めでした。

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7:50いよいよ出発です。
TGVは静かでした。新幹線より乗り心地が良かったように思いました。沿線には、大きな都市はなく、田園風景が続きました。

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11:24分、Bordeuax Saint Jean駅に到着。
この駅は天井が高く、ちょっとレトロでおしゃれな駅でした。

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駅の外に出て、お昼にしました。

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駅前にはトラムが走っていました。

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在来線に乗り換えて、Bayonne駅へ。

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もう一度乗り換えて、目的地へ。電車は川沿いの線路を少しづつ高度を上げながら登っていきます。

15:45分、Saint Jean Pied de Port駅に到着。
砂利敷きのホームに、沢山のバックパッカーが降り立ちました。

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小さなかわいらしい駅でした。

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駅前で若い長身のアメリカ人男性と日本人女性のカップルを見かけました。あえて挨拶をするのは、遠慮しました。
外国にまで来て、わざわざ日本人とお話するのはやはりおかしいと思っていたからです。
実は、この2人がcurtis君とakkoさんでした。2人とは、しばらくして、お友達になります。

歩いて巡礼事務所に向かいました。ここで、巡礼の登録とオリエンテーションを受けます。フランス人のオスピタレイロ(世話人)は一語一語ゆっくりと丁寧な英語で説明してくれました。道しるべの黄色い矢印、アルベルゲ(巡礼者用の宿)のルール、巡礼ルートの説明・・・
紹介されたアルベルゲで重いリュックを下して、街の見物へ・・・
Saint Jean Pied de Portは標高200mの小さな宿場町です。石畳の急な坂道の両脇にたくさんのお土産屋が並んでいました。
川のそばに出発点となる時計台があります。

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町はずれには小さな古いお城がありました。お城から赤い屋根の家々が見えます。

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泊まったアルベルゲの裏手はこんな風になっていました。

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町の中ではお祭りをやっていました。

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お土産屋でホタテの貝殻を購入。巡礼者は、ホタテをリュックに着けて歩くのがルールです。
夕食は近くのレストランでとりました。赤ワインがボトルで出てきました。ワインが少し回って幸せな気分になり、家族にメールを入れました。とにかく、ここまで無事に来られたことを一人で祝福しました。

いよいよ、明日から僕のcamino が始まります。


その前に、camino(カミーノ)について、簡単な説明を・・・

caminoとは、「スペイン巡礼」のこと。スペイン語で「道」のことです。僕たちは、この言葉を使います。
「聖地サンティアゴ巡礼 世界遺産を歩く旅」(日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会)が、僕たちの「バイブル」でした。
2010年7月初め、友の会主催の相談デスクに出かけました。caminoの必須アイテム「クレデンシャル」(巡礼手帳)をもらうためです。パスポートの次に大事な書類です。これがないとアルベルゲ(巡礼宿)には泊まれません。
友の会理事長の森岡朋子さん、藤野伸弘さんから格安航空券の入手方法、服装、備品、お金の調達方法、アルベルゲのルールなどなど丁寧な説明を受けました。

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今回のルートは、「フランス人の道」。初心者向けのもっともオーソドックスなコースです。
Saint Jean Pied de Port(サンジャンピエドポー)→ Panmplona(パンプローナ)→Logrono(ログローニョ)→Burgos(ブルゴス)→Leon(レオン)→Astorga(アストルガ)→Ponferrada(ポンフェラーダ)→Palas de Rei(パラスデレイ)→聖地Santiago de Compstela(サンティアゴデコンポステーラ)。北部スペイン地方を歩く全長約800kmのコース。

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衣食住について・・・
巡礼者(ペレグリーノス)の服装は、Tシャツ、半ズボン、トレッキングシューズ。リュックに着替え、寝袋など生活用品を詰めて歩きます。巡礼者は、リュックに目印のホタテの貝殻をつけています。
僕は、50Lのリュックを使いました。リュックの重さがポイント。僕の場合は、全部で13kg。結構、重かったです。そのため、2本の伸縮タイプのスティックを使いました。2本の脚を4本にするためです。荷重の分散と歩行時の推進力を得るのが目的でした。おかげで、800km歩き終えても、足や膝は全く平気でした。スティックで地面を押す歩き方をしたので、カチカチと音がでます。仲間の外国人からこの音のせいで、なぜか「shinkansen(新幹線)」と呼ばれていました。歩行速度は、平均5km/h。たいして速くはないのですが・・・

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朝食は、アルベルゲで出される簡単な食事(3€)、カフェコンレッチェ(スペイン人愛用のミルクコーヒー)とビスケット、ジャムなど。

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朝食が出ないアルベルゲでは、前日にスーパーで買ったパン、果物、チョリソー(酸味のあるサラミ)など。10時休みの時には、バル(お酒も出る喫茶店)でカフェコンレッチェ(1~1.5€)とクロワッサン(1€)でガソリン補給。

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昼食は、目的のアルベルゲにお昼すぎに着いて、スーパーで買った食材を食べていました。

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夕食は、レストランかバルで、menu del dia(本日の定食)をたのむのが定番。お値段は大体10€。ボトルのワイン付き。味も量も満足のいくものが出てきました。menu del peregrinos(巡礼者用定食:8€)もありましたが、いまいちでした。

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スーパーで買った食材を食べる時もありました。3食分で8€程度。安上がりの食事です。スペイン人は、日本人と同様、イカ(calamar)、タコ(pulpo)が大好き。その缶詰をよく食べていました。安くて旨かったです。

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アルベルゲには、キッチン、お皿、ナイフ、フォークなどが用意されているので、買った食材を調理している人たちも沢山いました。

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水は500㏄のペットボトルに水道水を詰めて飲んでいました。

アルベルゲ(巡礼者用の宿)は、概ね10km間隔にある街中にあります。公営と市営がありますが、たいてい公営のアルベルゲを利用しました。「フランス人の道」は世界遺産にも登録されているので、よく整備されていました。歩く道は、ほとんど歩行者専用。目印の黄色い矢印も要所要所に印されています。

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アルベルゲは2段ベットが並んだ大部屋。プライバシーはありません。当たり前ですが、トイレ、シャワーは共同。チェックインの時、先ほどのクレデンシャルをオスピタレイロ(世話人)に見せ、宿のスタンプを押してもらいます。スタンプラリーみたいなものです。ただし、これがコンポステーラ(巡礼証明書)を発行してもらう時の大事な証拠の品になります。料金は、概ね5€。

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毎日同じことの繰り返しですが、洗濯も非常に大事な仕事でした。アルベルゲには、洗濯板の形をしたシンクが備え付けてあります。早めに宿に着いて、まず洗濯。日当たりの良い物干し場をゲットするのもポイントでした。

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camino中のお金は、「paris」で紹介したように、クレジットカードのキャッシングを利用しました。概ね4日に1回のペースで100~110€の現金をATMで引出していました。

僕のcaminoでの1日の様子は次のようなかんじでした。

5時00分 起床、準備、朝食。消灯中なので、ヘッドライトの灯りを頼りに段取りを開始。
6時00分 出発。スペインはサマータイム中なので、実質的には5時。周囲は真っ暗。ヘッドライトを頼りに目印の黄色い矢印を必死で探します。見つけるとホッと一息。夜明けは、7時30分頃。一人ひたすら歩く・・・
10時頃にバルで一休み。カフェコンレッチェとクロワッサン。再び歩き・・・
13時頃 アルベルゲ到着。歩きの時間は、5~6時間。平均的な歩行速度が5Km/h。1日の歩行距離は、25~30㎞。チェックイン後、スーパーで買い物。昼食。スペインでは、14時からシエステ(昼休み)でお店が閉まります。時間がないので、大急ぎで買い物をしました。
14時 洗濯。洗濯物を干し終えると1日の仕事は完了。昼寝(シエステ)
16時頃から市内見物
19時 夕食。最初は一人でしたが、そのうち自然発生的にグループができます。外国人のお友達とオープンテラスかレストランで食事、お酒を飲みながら談笑。
21時頃 アルベルゲに戻り。22時に鍵がかけられ、消灯するのが、アルベルゲのルール。
22時 就寝。

新聞も読まず、テレビも見ずに33日間ひたすら歩くだけ・・・
こんな生活は、これまでの僕の人生では一度もありません。「食う」「寝る」「歩く」「観る」のシンプルな行為をひたすら繰り返す・・・今にして思うことは、これがある意味、caminoの本質的な部分ではないかと感じています。
camino中、「考える」ことはあまりありませんでした。

最後に「動機」・・・

Rivadiso da BaixoからPedrouzoに向かって歩いていた時、ひとりのアメリカ人女性から呼び止められました。
「どこから?」
「日本から」
「日本!極東のはずれからワザワザ。それは何故?」
「3年前に観たフランス映画がとても良かったから・・・映画のタイトルは「サンジャックへの道」。それが理由。納得できましたか?」
「納得((笑)」

理由は簡単。このフランス映画です。「Saint Jacques・・・La Mecque 」(サンジャックへの道)は、実に傑作な映画でした。サンジャックとは、フランス語でサンティアゴ(聖ヤコブ)のこと。caminoを舞台にしたコメディタッチの泣かせる映画でした。映画で見たシーンがあちこちに出てきてうれしくなったものです・・・

by camino0810 | 2011-04-13 21:23 | CAMINO(スペイン巡礼) | Comments(0)  

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