2010年8月14日(土) 1日目 Saint Jean Pied de Port~Roncesvalles
2011年 04月 16日
準備に手間取り、出発は予定より遅れました。
まだ、夜が明けきれず、街は眠っていました。街路はうす暗く、街灯が煌々と灯っていました。出発点の時計台を振り返ると6時50分。いよいよcamino の始まりです。
今日は、標高1400mのピレネーの峠を越えて、フランスとスペインの国境も越えます。目的地はRoncesvalles(ロンセスバジェス)。歩く距離は26km。高低差1200m。9km先のアルベルゲを過ぎると、その後には休めるところはありません。
計画時点からこのピレネー越えが、今回のコースの最初にして、最大の難所であることは分かっていました。うまく乗り切れるだろうか?不安を抱えつつ歩いて行きました。
途中のアルベルゲで一休み。まだ残りは17km。看板に「EKI」とあります。多分、宿の主人は、日本の「駅」を知っているのでしょう。
重いリュックを下した時、一瞬、体が少し浮き上がったように感じました。この時は、リュックの重さが15Kg程度はあったと思います。結構こたえました。
映画「サンジャックへの道」の中に、テレコム社管理職を名乗る高慢な郵便局員がへたばって、タクシーを呼ぶシーンがあります。映画と同じ風景を見ることができてうれしくなりました。
高度があがっていくにつれ、周りの風景が高原の景色に変わっていきました。
太もものあちこちが痙攣してきました。10分歩くて、2分休憩といったスローペース。日頃の運動不足と重いリュックのせいです。十字架のあるところで小休止。食欲はなく、持参したヨーグルトを無理やり胃袋に詰め込みました。
ガスが出てきて、雨が落ちてきました。持参したレインコート、ズボンを着込みました。雨が激しくなり、気温も低下。いつのまにか、僕の周りから人が消えていました。もしかして道に迷ったか・・・
疲労凍死は夏山でおこることは本で読んで知っていました。
しばらく歩くと、標識が見つかりました。Roncesvalles(ロンセスバジェス)8Km、2時間15分とあります。生き返りました。
国境を越えて(EUの国同士なので、単に標識があるだけ)、峠を降りると一瞬、樹木の間からRoncesvallesの教会が目に飛び込んできました。映画「サンジャックへの道」で見たシーンと同じでした。だらだらと続く雨でぬかるんだ急な坂道を慎重に下っていきました。ここで滑って捻挫でもしたらこれまでの苦労が水の泡ですから・・・
15時30分 到着。ほぼ9時間歩きとおしでした。道沿いの小川でドロドロになった靴、雨具を洗いました。
食事は相席で、menu del peregrinos(巡礼者用定食)9€。ニジマスのムニエルでした。相席したのは、年配の男性2人と女性1人のフランス人グループ。リタイヤー後の人生を楽しむちょっとセレブな人たちでした。ワインのせいもあり、話は結構はずみました。男性2人は英語が全く話せないようでした。もっぱら、女性の方と英語ではなしました。彼女は、東京に観光で来たことがあり、東京は、polite、safe、cleanな街だったとほめてくれました。それと、女性専用車両に驚かされたことも・・・僕は、Parisに寄ったこと、Parisは世界で最もおしゃれで美しい街だとお返ししました。最後に巡礼者の合言葉「Buen camino!」でお開き。「Buen」とは、スペイン語で「良い」という意味です。
アルベルゲに戻って、家族にメールを・・・
大苦戦の1日目でしたが、最大の難所を乗り越えた満足感で幸せな気持ちになりました。これで何とかなるという自信もできました。
by camino0810 | 2011-04-16 21:51 | CAMINO(スペイン巡礼) | Comments(2)
そうそう、休憩でリュックを下ろす度に浮いた感じになるのを私も同じように感じてました。 そしてまた再びリュックを背負った時のズシンとくる感じも。 でもそれも全て今はいい思い出です!
初日はほんと辛かったです。天気は悪くなるし、足は攣りまくるし・・・
峠を下りて、小川でドロドロの靴を洗っている時、ちょっとばかり自分を褒めました。
確かにいろんな苦労はありましたが、今は全ていい思い出に変りました。